アナリストから企業へ



日本のIRの流れについて、
「従来アナリストがやっていたようなことを、
  企業に直接やらせるようになってきた」
という指摘があります。


キャッシュ・フロー計算書の作成や、
退職給付債務やリース債務の金額など、
一連の会計ビックバンにより、新規に開示される項目が増えました。
しかしこれらの項目については、
従来アナリストが独自の方法で入手・作成していたといわれています。


これら新規開示項目をみると、
投資意思決定情報として重要なものが多いことに気づきます。
フリー・キャッシュ・フローや簿外化されている負債などは、
企業を評価する際には、不可欠な考慮事項でしょう。
しかし、企業に開示を任せるようになったために、
企業間比較が難しくなっているという現状があります。


例えば、退職給付債務の数理計算上の差異が発生した場合に、
償却する年数に違いがあれば、当然比較可能性に留保がつきます。
しかし、これらについてGAAP(一般に公正妥当と認められた会計基準
の範囲内であれば、公認会計士としては問題ないものとして判断します。


つまり、従来アナリストが一定の基準により統一的に作ってきたデータが、
企業の開示に任せるようになったことで、かえって企業間比較を失わせている、
そんな現状になってしまっているといわれます。
このため、B/SやP/Lだけをみて企業間比較をするのではなく、
会計処理方法についても比較することが求められるわけです。
引当金の計上基準や減価償却の方法といったあたりでさえも、
体力のある企業とない企業では異なっていることがあります。


∮今日のヒトリゴト


たまにはお昼ご飯を一人で食べたい。