差入保証金の返還可能性



前回の続きです。
賃貸借契約による店舗等の拡大における、最近の注意点です。


ズバリ差入保証金の回収可能性の問題がそれです。
賃貸借契約を結んだ場合、地方によっても異なりますが、
敷金と礼金が発生することになります。
このうち、退去時に返還される部分があるときには、
原状回復費用を差し引いた上で、返還されるのが通常です。
しかし、最近ではこの差入保証金が返還されないケースがあるのです。


理由は、ビルオーナーの財政状態悪化に伴う支払財源不足であり、
バブル期に建設されたビルほど危ないといわれています。
当初差入れられた保証金について、別のビル投資に回してしまったため、
返還時にそれだけの財源が確保できないためです。
これに、新しいインテリジェンスビルなどがどんどん建設されたため、
従来のビルからは顧客が流出する一方であることが追い討ちをかけます。
ゴルフ場の預託金も構造は同じなのですが、次に払ってくれる人がいない場合は、
財源を再投資に回してしまうと、支払財源が枯渇する仕組みになっているのです。


この差入保証金未返還問題があるために、機動的なスクラップアンドビルドを旨とすると、
退去時に思わぬ損失を受けるリスクが高まります。
賃料を未払いにすることで相殺できるようにするなど、
対処する方法はいろいろあるのですが、管理がしっかりしていないと難しいところです。
ドトールの決算をみればわかりますが、
回収可能性が低い部分について、特別損失で計上されています。
投資選定するときには、有形固定資産を見て減損の心配をするだけではなく、
無形固定資産の保証金もみて、回収可能性を考えてみることは、
企業によっては必要なことといえるでしょう。


∮今日のヒトリゴト


勘定科目の注意点でもそのうち綴りだすかもしれないなぁ。