監査で不正は見つかるか?



最近は有価証券報告書の虚偽記載が増えているので、
監査論を思い出しながらなんか書いてみます。


まず、財務諸表の虚偽記載の原因ですが、
監査論では「不正」と「誤謬」があるとします。
そして、「監査人は不正及び誤謬による財務諸表の重要な虚偽記載を看過しないように
監査計画を立案し、それに基づいて監査を実施しなければならない」と要請しています。
ここで監査基準委員会報告書では、不正とは、
「財務諸表の虚偽記載の原因となる、経営者、従業員又は第三者による意図的な行為」
また誤謬とは、
「財務諸表の虚偽記載の原因となる意図的でない誤り」と定義しています。
両者は財務諸表の虚偽記載の原因となる点では同じですが、
意図的か否かによって大きく分けられています。


まずは誤謬ですが、単純なタテ計ミスや注記のうっかり漏れといったものであれば、
監査において発見される可能性はかなり高いと思います。
監査法人では各種チェックリストを揃えているでしょうから、
形式的なチェックをしっかりやれば、
表面上問題のなさそうな財務諸表はできあがるハズです。


一方の不正ですが、会計記録を改ざんするような大掛かりな粉飾や、
意図的な資料隠蔽といったものが該当することになります。
こうなると、形式的なチェックはクリアしてしまいますから、
そのままでは虚偽記載を含んだ財務諸表が世に出てしまうことになります。


この不正ですが、個人的な見解とお断りしますけれども、
監査で発見するのは非常に難しいと思っています。
監査ウォッチングさんのところにもありましたけれども、
何らかの不正情報がなければ発見の糸口すら見つからないのが実際ではないでしょうか。
そして、この不正情報を入手するためには、
クライアントとのコミュニケーションが重要な気はします。
なぁなぁではなく、緊張感のある関係でなければなりませんが、
黙って不正をさせないような信頼関係を構築する必要があると思います。


・監査は粉飾を発見するためのものである
・監査は粉飾をさせないためのものである
大きく分けると、監査に対する見方としてはこの二つがあるのではないでしょうか。
前者は粉飾の事後的防止措置で、後者は粉飾の事前的防止措置を指向することになりそうです。
個人的には、事が起こる前に予防するのが最善の策だとは思うのですが。。。
現実はもう手遅れになっている企業とかもあるのかもしれません。


∮今日のヒトリゴト


不良債権化していた銘柄を処分。
パウエルの辞任など、ニュースは多かったりします。
12月は政治の季節になるのでしょうか。