借入に係る手数料の意味は?



前回のところで、銀行が手数料収入を狙っていることは書きました。
これは、金利収入であれば期間対応が必要なところ、
手数料でもらえるようにしておけば、
契約設定時の収入にすることが不可能ではないことによります。


例として、本来の金利が3%であると仮定を置きます。
1億円を期間10年の満期一括返済で貸し付けた場合には、
毎期3百万円の利息が発生し、10年の合計で30百万円になります。
一方、貸付金額の5%を最初に事務手数料として抜いておき、
利率を2.5%として計算すると、毎期2.5百万円の利息が発生し、
10年合計で25百万になります。
この利息合計に当初の事務手数料5百万円を加えると、
収入合計30百万円となり、両者の収入合計は一致することになります。


しかし、最初の事務手数料については、10年に期間配分されることは少なく、
一番最初にまとめて収益計上するケースが多いようです。
早い話、名目を変えることで収益の先食いを可能にしているともいえます。


一方、貸付を受ける企業側については、この事務手数料の扱いは問題となっています。
財務費用として考えた場合に、借入を行うための必要経費と考えることができますから、
その借入期間に対応させて費用化していくという会計処理がまず考えられます。
他の資金調達手段である社債発行や増資については、
社債発行費や新株発行費として繰延資産計上が認められていますから、
資金調達の一手段である借入についても同様の性質であると考えると、
期間配分は可能であると考えられます。
しかし、繰延資産は一度で落としてしまう方法もあるわけですから、
最初で全額費用化するという方法についても、問題ないと考えられます。


ということは結局、利益に自信がある企業はさっさと落として、
利益に自信のない企業は。。。
ということになっているような気が。。。


∮今日のヒトリゴト


うまくやると、費用を最初に大きく計上して、
その後の利息金額を小さくおさえる手段に使えるんですよね。