減損会計と税効果会計



今日は会計の話です。
減損会計の早々期適用が始まっているのはご存知だと思いますが、
固定資産を減損したときには、税効果会計も関連してきます。
減損を行ったときに、実質的な評価減が発生するわけですが、
これについては税務上は損金算入できません。
ここで、減損対象資産が償却資産の場合は、
減損部分については減価償却を通じて徐々に一時差異が解消されていくことになります。
そのため、償却資産については、
将来減算一時差異が発生し、繰延税金資産が計上されることになります。


以上は基本的な減損の話なのですが、
これに繰延税金資産の回収可能性を加味すると話が難しくなります。(いままでも難しいかも?)
回収可能性とは、将来減算一時差異が解消される期においてそれに見合うだけの税金の支払い、
つまり所得が計上される可能性です。
これがない場合は、税金の前払という資産性が否定されますので、
繰延税金資産の計上は認められないわけです。


ここであくまで仮の話ですが、減損損失を認識した場合に、繰延税金資産がなければ、
債務超過や資本の欠損が生じてしまう可能性のある企業があるとします。
そういう場合においては、繰延税金資産が企業に与える影響が多大となるため、
監査法人公認会計士は難しい判断を迫られることになるでしょう。
似たような例を振り返ると、銀行関係の不良債権の有税償却が思い出されます。
あのときも、自己資本比率を巡る攻防戦になっていました。


前回は不良債権でしたが、今回は固定資産という銀行に限らない話になります。
各自のポートフォリオを見直すときに、減損への対応状況をよく見極める必要があるといえますが、
具体的な話はまた明日。