丸石HDへの意見差控えの影響は?



監査法人がトドメをさすケースが増えていることは以前書きましたが、
今回の丸石HDに対する意見差控えの表明をあらためて考えると、
今後に与える影響は大きいかもしれません。
不適正意見や意見差控えが監査意見としてでてくるということは、
従来はまずありませんでした。


監査の失敗、つまりは公認会計士の責任が問われる場面について考えると、
粉飾を見逃した場合というのがその答えでしょう。
より具体的にいうのならば、
企業が倒産したときにその粉飾を発見できなかった場合といえそうです。
ですから企業が倒産することなく存続し続けるならば、
粉飾を発見できなかったとしても責任は問われないままかもしれません。


最近の傾向として、倒産する企業やダメになる企業が増えてきています。
それに伴い、倒産した場合に公認会計士が責任を問われる場面も増えてきました。
従来はなぁなぁで済んできた部分についても、
倒産した場合にきちんと職業的専門家としての責任を果たしたことを示すために、
監査意見書において不適正意見や意見差控えが表明されてくることになるのでしょう。
ゴーイングコンサーンの注記もその流れを受けているものといえます。


こうして考えてみると、今回の丸石HDに対する意見差控えについては、
従来は伝家の宝刀とされてきた監査意見が変わってくるきっかけになるのかもしれません。


∮今日のヒトリゴト


ゴーイングコンサーンの注記をみていると、
形式的な判定基準ですから、大丈夫な企業も該当する可能性があります。
そこを見極めることができれば、注記の影響で株価が下がったとしても、
利ザヤを取ることは十分可能でしょう。