J-REIT −不動産鑑定について−



さてREIT3部作のラストです。
不動産鑑定が今回のテーマです。


結論は、「今後鑑定士の選別が始まるかも」です。


不動産の価値という話にしてしまうと、公正価値、フェアバリュー、
使用価値、売却価値などの話になりかねないので、今回は置いておきます。
とりあえず、不動産鑑定士による鑑定評価額というものがあり、
ファンドで物件を取得するにあたっては、
その鑑定が必要となっているというところを押さえてください。
ここでのポイントは、物件を取得するにあたって、鑑定が必要という部分です。
端的に言うと、取得価格についてのお墨付きをもらうことにより、
適切な価格で取得しましたという、言い訳をつくるのが目的です。


ところで不動産鑑定評価の手法ですが、以下の3つがあります。
・原価法      不動産の再調達原価に着目して価格を求める方法
・取引事例比較法  類似の不動産の取引事例価格に着目して価格を求める方法
・収益還元法    不動産が将来生み出す収益に着目して価格を求める方法


今回の問題となるのは、鑑定方法が複数あったりすることから判断が入り込む余地があり、
鑑定評価額が鑑定士により異なる可能性があるということです。
具体的には、A事務所では鑑定不能とされた物件が、B事務所では3億と評価される可能性があります。
ここでファンドが物件を取得しようとしていた場合、鑑定不能では困るわけです。
となると、物件取得を考えている立場からはどちらを採用するかは言わずもがなです。


不動産鑑定は従来、企業の内部的な物件取得や、デューデリ民事再生の財産評定といった、
特殊な局面で用いられることが多かったように思います。
それがREITの登場により、どの物件についてどのようは評価をしているという形で、
外部の目にさらされるようになってきました。
今後は、不動産鑑定士の格付けなどが始まり、どこの鑑定評価を採用しているかにより、
ファンドが保有する不動産のリスクが測定されるようになるのかもしれません。
となるならば、不動産鑑定士の選別も激しくなってくるのでしょうね。


∮今日のヒトリゴト


資金繰りってなかなか難しいですねぇ。