西武鉄道
西武鉄道<9002>の続きです。
結論からいうと、上場廃止の可能性はあるのではないかと思います。
状況把握
新聞で報道されている有価証券報告書の訂正内容ですが、
平成16年3月期に関しては以下の通りです。
・コクドの西武電鉄への保有比率が43.16%が64.83%へ
・プリンスホテルの西武電鉄への保有比率が0.98%が4.2%へ
・コクドがその他の関係会社から親会社へ
・プリンスホテル、西武ライオンズ、西武商事が
その他の関係会社の子会社から親会社の子会社へ
これに伴い、大株主上位10名が保有する株式総数が、
275,905千株(63.68%)から、383,778千株(88.57%)に上昇しています。
()内は発行済株式総数に対する所有株式数の割合。
産経新聞によると、その後にコクドが16.23%売却したため、
9月末現在では大株主上位10名が保有する株式総数は、72.34%まで低下しているようです。
上場廃止基準
問題になりそうな部分は、
「少数特定者持株数」「連結財務諸表等の虚偽記載等」です。
東証の上場廃止基準については、こちら。
・少数特定者持株数が上場株式数の75%(当分の間は80%)超(猶予期間1年)
・少数特定者持株数が上場株式数の90%超(所定の書面を提出する場合を除く)(猶予期間なし)
・「虚偽記載」を行った場合で、その影響が重大であると当取引所が認めたとき
この三つが該当する可能性のある部分ではないでしょうか。
検討
少数特定者持株数とは、
大株主上位10名及び役員が所有する株式の総数に
上場会社が所有する自己株式数を加えた株式数。
とされていますが、ここでは大株主上位10名のみで検討しておきます。
訂正後の大株主上位10名の保有する所有株主数は前記の通りですから、
平成16年3月期の時点では90%超には該当しません。
では80%超のほうはどうかというと、訂正された過年度の有価証券報告書を参考にすると、
平成15年3月期の段階ですでに88.57%になってしまっています。
さらに遡ってみたところ、平成12年3月期については、91.19%に訂正されています。
となると、かなり以前から上場廃止基準の少数特定者持株数に抵触していた可能性が。。。
結論
少数特定者持株数に抵触するケースならば、
・過年度に少数特定者持株数の猶予期間なしに抵触していることから上場廃止
・平成16年3月末時点で少数特定者持株数の猶予期間ありに抵触しており、
猶予期間を経過していることから上場廃止
が考えられます。
仮に、現時点では少数特定者持株数に抵触しないとして免れるとするならば、
・過年度の有価証券報告書の記載内容が虚偽記載であり、
影響が重大であるとして上場廃止
・過年度の有価証券報告書の記載内容が虚偽記載であるが、
影響が重大でないとして上場維持
などが考えられます。
最近の東証の姿勢をみると、コンプライアンスとかには口うるさいですから、
こういうケースは許せないはずです。
ベンチャーなどの小さい企業であれば上場廃止にされそうですが、
西武鉄道という大きな会社であることから、社会的影響を考えて上場維持もありえます。
ただし冷静に考えてみると、
他の会社の支配下にあることが開示されていなかったわけですから、
影響が重大でないわけはないと思うんですが。。。
親会社が非上場であることも、話をややこしくしている原因でしょう。
親会社も上場していれば連結決算のために、上のほうから情報提供があるはずですから、
このようなことは子会社側では通常起こりえないはずです。
しかし、親会社が非上場で、商法特例法の監査だけであったとすれば、
従来は連結決算が必要なかったために、このような漏れがあったのかもしれません。
ちなみに、平成16年3月期の1株当たり純資産は、110円でした。
電鉄株であることから、減損対象資産が多そうな雰囲気もありますし、
もう少し割り引いて考えたほうがよさそうです。
ただ、相続税対策で上場してるなら、含み益のほうが大きいのかも。
仮に上場廃止になったとして、その後も株式を保有するとするならば、
100円前後が適正株価になるのかな?
もし上場維持になるとするならばリバウンドが期待できますので、
いずれにせよしばらくは目が離せない展開になりそうです。