西武鉄道



東証上場廃止決定を受けて、ジャスダックを目指すと公表した西武鉄道<9002>です。
東証上場廃止基準に抵触した銘柄が、
他の取引所で上場することができるのか、なかなかに興味深いところです。
しかし、再上場を期待して買おうとする人もいるでしょうから、
ジャスダックの上場基準に照らして、どこが問題になるのか考えてみようと思います。


とりあえず、ジャスダックの上場基準ですが、コチラです。


・株主数
 これは40万単元ぐらいありますから余裕でしょう。
時価総額
 11/16時点の終値(268円)では、1千億を超えてます。
 1/100まで株価がおちなければ大丈夫でしょう。
・利益の額
 「直前事業年度における当期純利益金額が正又は経常利益金額が5億円以上
  ただし、新規公開時における時価総額が50億円以上(見込み)である場合には、
  当期純利益金額及び経常利益金額は問わない」
 本年度末までの上場を目指すとのことですから、直前は前期末数値ということになります。
 2004/3月期は、経常利益76億円、当期純利益は-85億円でした。
 また、時価総額も50億円は超えてくるでしょうから、この基準もクリアしそうです。
・監査意見
 「直前2事業年度の監査意見を必要とし、かつ直前期は無限定適正であること」
 ここはポイントになるところだと思われます。
 訂正報告書はでてますから、虚偽記載の部分についての瑕疵は治癒されているはずです。
 ただし、直前2事業年度の監査意見というのが謎です。
 今回、監査契約を中央青山監査法人中央青山に委嘱するとのことですが、
契約前ですから当然ながら直前2事業年度の監査意見は出してません。
 となると、個人の公認会計士による監査意見ということになるのでしょうか?
 しかし、東証の上場廃止理由にもなってますが、
この監査意見が対象としている財務諸表は、重要な虚偽記載が存在する財務諸表のはずなんですよね。
 ならば、中央青山監査法人が改めて直前2事業年度に対する監査意見を表明するのでしょうか?
 例示ですけれど、実査・立会といった適時性のある監査手続が実施できないとすると、
普通の監査意見表明のための法人内レビューであれば、問題事項になるところです。
 それとも、これらについては「他の監査人を利用」するのでしょうか?
 しかし利用する他の監査人は、今回問題となっている公認会計士なんですから、そのまま利用というのも。。。
 であれば、個人の公認会計士がもう一度監査意見書を作成するというのが有力な感じを受けます。
しかし、対象となる公認会計士が処分されてしまうと、これ自体が不可能になるんですよね。。。
 どうやってここをクリアするのか、気になるところです。
・登録前の第三者割当増資及び株式等の移動等
 「「登録前の第三者割当増資及び特別利害関係者等の株式等の移動に関する細則」に適合しない
  第三者割当増資及び特別利害関係者等の株式等の移動が行われていないこと」
 一応、登録前の特別利害関係者等の株式移動等が開示対象になります。
 直前決算期日の2年前の日の翌日以降における特別利害関係者等の株式移動等に係る移動内容、
移動理由等について開示する必要が生じるわけです。
 これって、コクドのインサイダー取引の手口がわかることになりません?
 上場維持のためにどのように動いたのか、ある意味貴重な記録になりそうです。
 また、買取請求くらってますので、この部分の記載が暫定的なものになってしまうんですよね。
 それ自体いかがなものか?のような気がしますが。


結局のところ、また公認会計士がらみでどうなるのかが決まることになるかもしれません。
そして関係する監査法人は、最近新聞に載ることの多い中央青山監査法人
今この状態で、あえて火中の栗を拾うのでしょうか。。。
また、主幹事の依頼は野村證券に出しているようですね。受けるのかな?


∮今日のヒトリゴト


ジャスダックには透明性があり、公正な審査をしてもらえると考えている」
とのコメントを見ると、東証はなんだったのかと思ってみたり。
なにか大切なものが欠如している気がするのですけれど。。。
こうなってくると、CSRが重視されてくる流れになりそうですね。
業績がよくSRIに組み込まれていたりすると、うまく時流にのるのかも。

会社情報等に対する信頼向上のための上場制度の見直しについて



東証パブリックコメントを発表しました。
1 開示書類等の信頼向上
 A 上場会社の誠実な業務遂行に関する基本理念
 B 適時適切な情報開示に関する宣誓
 C 有価証券報告書等の適正性に関する確認書
 D 公認会計士
2 親会社等の会社情報の適時開示ルール等の見直し
3 少数特定者持株数に係る基準
4 財務諸表等の虚偽記載に係る基準の見直し
5 株式事務代行機関の設置
6 コーポレート・ガバナンスの充実に向けた啓蒙活動
以上が主な項目です。
予定実施時期は、平成17年1月初旬とのことです。
内容については、パブリックコメント参照で。


世間一般の上場会社にとって影響のあるのは、
1−Bと1−Cでしょうか。
宣誓を行うことと、適正性の確認書は最低限必要になると考えていいでしょう。
適正性の確認書は、改正規則の施行日以後に終了する事業年度となっていますから、
来年の3月期決算は影響がありそうですね。


また一方で、投資対象としての個別銘柄を考えたときに、
該当するかを検討しておく必要のある箇所もありそうです。
1−Dや3といったあたりは、
該当銘柄である場合に、上場廃止含みになりますので、
ちょっと怖い部分がありますね。


∮今日のヒトリゴト


パブリックコメント冒頭の、
「株式会社東京証券取引所」というのが、
なんとも違和感バリバリで。。。

監査で不正は見つかるか?



最近は有価証券報告書の虚偽記載が増えているので、
監査論を思い出しながらなんか書いてみます。


まず、財務諸表の虚偽記載の原因ですが、
監査論では「不正」と「誤謬」があるとします。
そして、「監査人は不正及び誤謬による財務諸表の重要な虚偽記載を看過しないように
監査計画を立案し、それに基づいて監査を実施しなければならない」と要請しています。
ここで監査基準委員会報告書では、不正とは、
「財務諸表の虚偽記載の原因となる、経営者、従業員又は第三者による意図的な行為」
また誤謬とは、
「財務諸表の虚偽記載の原因となる意図的でない誤り」と定義しています。
両者は財務諸表の虚偽記載の原因となる点では同じですが、
意図的か否かによって大きく分けられています。


まずは誤謬ですが、単純なタテ計ミスや注記のうっかり漏れといったものであれば、
監査において発見される可能性はかなり高いと思います。
監査法人では各種チェックリストを揃えているでしょうから、
形式的なチェックをしっかりやれば、
表面上問題のなさそうな財務諸表はできあがるハズです。


一方の不正ですが、会計記録を改ざんするような大掛かりな粉飾や、
意図的な資料隠蔽といったものが該当することになります。
こうなると、形式的なチェックはクリアしてしまいますから、
そのままでは虚偽記載を含んだ財務諸表が世に出てしまうことになります。


この不正ですが、個人的な見解とお断りしますけれども、
監査で発見するのは非常に難しいと思っています。
監査ウォッチングさんのところにもありましたけれども、
何らかの不正情報がなければ発見の糸口すら見つからないのが実際ではないでしょうか。
そして、この不正情報を入手するためには、
クライアントとのコミュニケーションが重要な気はします。
なぁなぁではなく、緊張感のある関係でなければなりませんが、
黙って不正をさせないような信頼関係を構築する必要があると思います。


・監査は粉飾を発見するためのものである
・監査は粉飾をさせないためのものである
大きく分けると、監査に対する見方としてはこの二つがあるのではないでしょうか。
前者は粉飾の事後的防止措置で、後者は粉飾の事前的防止措置を指向することになりそうです。
個人的には、事が起こる前に予防するのが最善の策だとは思うのですが。。。
現実はもう手遅れになっている企業とかもあるのかもしれません。


∮今日のヒトリゴト


不良債権化していた銘柄を処分。
パウエルの辞任など、ニュースは多かったりします。
12月は政治の季節になるのでしょうか。

メディア・リンクスの余波



今は上場廃止になっていなくなってますが、
メディア・リンクスの過去の決算が架空取引との見方が強まっています。


正直、大損ぶっこいた銘柄ですので思い出したくないのですが、
架空取引に関係した企業を巻き添えにしながら、また表舞台へ登場してきました。


以前のブログで書いたのですが、
新規上場の銘柄でチェックしておいたほうがいい箇所として、
大株主の状況を挙げました。
これは、上場によるキャピタルゲインを考えると、
架空売上を作ってでも上場させたいという誘因が存在することが1つの理由です。
よって、大株主の状況に本業が別にあるVCらしきものが入っていたり、
その関係者(要は役員)がいたりすると、注意したほうがいいということになります。


定量的なファンダメンタルやテクニカルではないのですけれど、
こういった定性的な部分も無視できなくなってきていると思います。
リスク情報や大株主、コンプライアンスといった情報については、
有価証券報告書を読むことから始めたほうがよさそうです。


今回のこのメディア・リンクス事件ですが、
どのぐらいの影響がでてくるのか、
短期的な新興市場については、実名がでたときのインパクトは大きそうです。
特に、ライブドアには影響が大きいのではないかと。。。


∮今日のヒトリゴト


買い時が訪れているような銘柄が増えてきました、
チャンスと見れば動かないと損なのですけれど。

適正性の確認書



以前ブログで書きましたが、適正性の確認書が義務付けになりそうです。
相次ぐ有価証券報告書の虚偽記載などが背景にあるのでしょう。


スケジュール的には、来年1月に規則を変更し、
その後平成17年3月期決算から適用しようという方向のようです。
ということは、2月決算の小売店とかはセーフになるのでしょうが、
現在も任意で行っている制度ですから、添付したほうが望ましいといえるでしょう。


有価証券報告書の正確さを誓約できない場合には、
改善報告書の提出を求めることになるそうです。
5年間で3度の提出を求められた場合には、上場廃止を検討していると報道されています。
ぱっと見ると5年間は誓約できなくても大丈夫と解釈できそうな気もするのですが。。。


現在報道されている時点で、上場維持との観点でまとめてみますと。
1 確認書を提出し虚偽記載もなし → 問題なし
2 確認書を提出するも虚偽記載 → 虚偽記載内容 及び 宣誓違反 で上場廃止検討
3 確認書を提出せず虚偽記載はなし
  A 改善報告書を5年間で3度未満 → 上場維持
  B 改善報告書を5年間で3度以上 → 上場廃止検討
4 確認書を提出せず虚偽記載あり → 虚偽記載内容で上場廃止検討
こんなかんじでしょうか。


今回の制度の大きなポイントとして、
「確認を行うに当たり、財務諸表等が適正に作成されるシステムが機能していたかを
 確認した旨およびその内容」
という部分があることが挙げられます。
つまり、主に経理に関する内部統制がしっかりしていることを、
経営者が保証しなければならないことです。
通常の内部牽制機能として、内部監査なども整備されているでしょうが、
システムの機能となるならば、整備及び運用がされている必要があります。


企業の内部統制については、何度も書いてきましたけれど、
いろんな方向からトピックになっていることは間違いないといえるでしょう。
絶対コンサルとしておもしろい分野だと思うんですけどねぇ。
また、内部統制が適切に整備運用されていることを、公認会計士が保証業務として行うことも、
今後は方向性として強くなってくると思われます。
ただ、コンプライアンスとも関係するわけですから、
弁護士との連携というのも重要になると思います。


∮今日のヒトリゴト


西武鉄道は上場維持厳しそうですね。
東証が市場の信頼回復を優先したということでしょう。
アソシエントの上場廃止駿河屋の事件など、
年末にかけてばたばたしてきました。

少数特定者の持ち株比率引き下げ



上場廃止基準に少数特定者の持ち株比率基準があることは、
西武鉄道で有名になりました。
従来80%超の状態が1年続くと上場廃止でしたが、
75%超に引き下げる方向で検討しているようです。


株式の流動性確保が狙いの一つですが、
特定の法人個人の影響を薄めるというのもあるでしょう。
経過措置が設けられることになるでしょうが、
この基準に現時点で該当している起業が約70社あると報道されています。
これらについては、売り圧力が潜在的に発生してくることになります。


今回の発表は東証からでしたが、
いずれは各市場に波及してくると考えるのが自然だと思われます。
となると、流動性確保のためや上場廃止基準から逃れるために、
株式分割が今後検討される銘柄が増えてくるかもしれません。。


∮今日のヒトリゴト


西武鉄道は上場維持になるんでしょうか?
あれだけのことをやっていながらセーフだとすると、
東証は相当甘いということになります。
新規上場のときには高いハードルがありますが、
上場してしまえば好き勝手できるということになると、
市場の透明性は画餅になってしまいます。

アラファト議長死去



大物がまた一人亡くなりました。
毀誉褒貶はありますが、アラブの大物の一人であることは間違いなく、
イラクのみならずイスラエルの情勢にも影響がでるでしょう。
アラファト後が明確にみえてこないため、
今後の中東情勢は要注意と思ってます。
過激なグループが主導権を握るようなら、
面倒なことからオイルが高くなったりもありえますし。。。


∮今日のヒトリゴト


といいつつ、メディアリンクスで痛い目をみている。。。